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  • TOUCH THE YAMANASHI 伊勢丹新宿本店にて

    TOUCH THE YAMANASHI伊勢丹新宿本店にて、2023年2月1日(水) ~ 2023年2月7日(火)TOUCH THE YAMANASHI〜探しに行こう甲斐市の恵み〜が開催されました。山梨県の中西部に位置するまち甲斐市は恵まれた気候と、肥沃な土壌により豊かな農産物の栽培に適した地域です。果実栽培やワイン醸造をはじめとし、富士を望む南斜面では畜産や平飼い養鶏なども盛んに行われております。また、その昔に水晶の一大産地であった昇仙峡一帯は宝飾産業都市の礎ともなっています。そんな甲斐市の様々な恵みを伊勢丹新宿本店に集約させこの度POP UPイベントに沢山のお客様が足を運んで下さいました。今回のPOP UPイベントでは、ナチュルワインにこだわり注目を集める「ドメーヌヒデ」の「愛してるスパークリング」「アパッシュメント」など貴重なワインをはじめ、全国的にも認知度の高い「登美の丘ワイナリー」の人気ワイン「登美の丘 甲州」「登美の丘 赤」をご用意いたしました。また、愛らしい花のラベルが目を引く「奥野田ワイナリー」の甲州ワイン「ハナミズキ」は連日売り切れになるほど好評頂きました。ワインの他にリアルオーガニック卵を使用した有機JAS認証バウムクーヘン、医食同源をコンセプトにしたレストランにて作られる「彩食健美 百屋(ももや)」のグルテンフリー・化学調味料などの添加物不使用のレトルトカレーやグルテンフリースィーツセットもご紹介させて頂きました。また、宝飾産業都市だからこそ表現できたジュエリーをご用意。品質良い選りすぐりのジュエリーを取り揃え、沢山のお客様に甲斐市の商品を手に取ってもらい知って頂く機会になりました。中央のエスカレーターから2階に上がって頂き左へ曲がって頂くとすぐの会場では一足先に桜が花開き、季節の花々に囲まれ甲斐市の恵みと調和しておりました。お客様のご声援の元2023年中にまた、伊勢丹新宿本店にて山梨の魅力的な商品をご提案する機会を設けさせて頂く予定でございます。また詳細決まり次第ご案内させて頂きますので、ぜひまた足を運んで頂けますと幸いです。

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  • 山梨県立農林高校 17ans Petit Verdot 2021年

    山梨県立農林高校の食品化学科3年生27人が、2年生時のワイン醸造の授業で醸造したワイン、17ans Petit Verdot [ディセタン プティ・ヴェルド] 2021年がお披露目されました。17ans(ディセタン)とは、フランス語で17歳を意味する言葉。プティ・ヴェルドというぶどう品種100%、200本限定のワインで、入手することができるのは、カテリアルのオンラインショップと甲斐市のふるさと納税の返礼品のみです。 プティ・ヴェルドとは、欧州系の醸造用黒ぶどう品種。主に栽培されるのはフランスのボルドー地方ですが、現地では補助品種として数%ワインにブレンドされるに留まっています。しかしプティ・ヴェルドには、味わいの骨格となる豊富な酸味と、渋みのもととなるタンニンが多く含まれており、本格的なワインをつくりあげることができるのです。暑い気候にも適していることから、山梨県においても注目されている品種で、農林高校でも勝沼のワイナリーから苗木を譲り受け、試験的に育てているそうです。高校生が造った、プティ・ヴェルド100%のワイン 技術指導には、岩崎醸造の白石壮真社長があたりました。プティ・ヴェルドという珍しい品種を栽培し、ワインを造る。白石さんや先生方のお話を聞き、学び、自分たちの手でつくりあげた貴重なワインです。 令和3年から、農林高校のワイン教育が文部科学省の指定事業となりました。これは全国で12校しか選出されない狭き門だそうで、関東で選出されたのは農林高校1校のみ。農林高校のワイン学習の特徴は、ワインに関する幅広い分野を学ぶことです。原料であるぶどうの栽培、微生物を利用したワイン醸造、そして完成したワインをどのように販売するか、までを学んでいます。すべての工程を体験的に学ぶことにより、生徒さんたちは社会で活躍するための力を身に付けていきます。 山梨県内のぶどう栽培者から購入したプティ・ヴェルドを使用し、仕込みが始まったのは昨年の10月上旬。熟成にはフランス製のオーク樽を使用することで、ワインの味わいが調和するとともに、樽由来のニュアンスが味わいに深みを与えます。また、分析によってワインに含まれる成分を確認。分析結果に基づいて、ろ過や亜硫酸の使用など必要最低限な処理を施したうえで瓶詰め・出荷に至りました。 半年間の熟成を経てできあがった115リットル、ハーフサイズボトル300本分のワインは、今年6月に、これも生徒さんたちの手で瓶詰されました。この17ans Petit Verdot [ディセタン プティ・ヴェルド] 2021年は、山梨県ワイン酒造組合がおこなう審査にも出品し、見事合格。GI Yamanashiを取得した、確かな品質を備えているワインなのです。ワイン造りの、その先へ ワイン造りの経験を活かし、山梨県立農林高校では同校ホームページ内に魅力発信プロジェクトを立ち上げました。このワインを手にした全国の方々に農林高校、甲斐市の魅力を動画によって発信していくプロジェクトで、カテリアルは販売協力として参加しています。ワインのラベルには2つのQRコードが記載されていて、そこからコンテンツにアクセスすることができます。学校紹介、ワイン製造の様子を撮影したムービーやワインに合う料理のレシピなどの紹介を見ることができ、これからもコンテンツを随時アップデート予定だそう。ワイン造りとともに農林高校の伝統として引き継がれ、素敵なページに育っていってほしいです。 17ans Petit Verdot [ディセタン プティ・ヴェルド] 2021年(原料)山梨県産プティ・ヴェルド (テイスティングノート) このワインは、色調は輝きのある赤紫色。 ブルーベリー、シダ、ハーブに、樽に由来するクローブのアロマに、スミレやなめし革の香りがほのかに感じられます。 なめらかなタンニンと凛とした酸味のある、 フルーティーというよりはエキゾチックでスパイシーな味わいが魅力です。

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  • Katerialオススメ、プレミアムワイン定期便 12本

    Katerialでは、オススメのワインを定期便でお届けするセットの販売も行っています。どのワインにしようか悩んでしまった時や、オススメを届けてほしい、色々なワイナリーのワインを試してみたい時などに最適な定期便です。今回はそんな定期便の中から、プレミアムワイン定期便12本の内容やワイナリーをご紹介します。塩山洋酒醸造https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=77&name=日本品種を第一に考えたワイン造りを行い、欧州系品種は一切栽培・醸造しないこだわりを持っているワイナリーです。日本品種だからこそ出せる味わいを日々研究しています。重川 甲州使用される甲州は、すべて甲州市の重川沿いにある自社畑収穫のもの。凝縮感のある果実味と爽やかに広がる洋ナシを感じさせる香り、全体を骨格づけるスッキリとした酸が特徴のやや辛口。原茂ワインhttps://katerial.jp/shop/products/list?category_id=85&name=明治時代に建てられた母屋を改装した古民家風の建物でワインの販売をしています。ショップの前には一面にぶどう棚が広がり、時折のぞかせる日差しが心地よい雰囲気を作り出しています。ブラック・クイーン山梨県産ブラック・クイーンを使用し、12か月間樽熟成させた赤ワインです。果実味と樽香のバランスのよい、やさしい後味のミディアムボディ。奥野田葡萄酒醸造https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=76&name=「小さなワイナリーだからこそできる丁寧なワイン造り」をモットーに栽培から醸造まで、細部にこだわりを持つワイナリー。市や企業との提携事業など、様々な活動をおこなっています。ハナミズキ・ブラン完熟甲州種を丁寧に収穫し、ふくよかでやわらかい味わいのオレンジワインに仕上げました。マセラシオン製法(醸し)により甲州種が持つ果実本来の味わいを最大限に引き出し、丹念なバトナージュにより豊かな香りと奥行きのある味わいに。ミネラルたっぷりの優しいおいしさをどうぞお楽しみください。くらむぼんワインhttps://katerial.jp/shop/products/list?category_id=93&name=社名は宮沢賢治の童話「やまなし」より名づけられました。ワインが苦手な方にも手軽に飲みやすい甘口ワインなど、豊富なラインナップを取り揃えています。くらむぼん甲州柚子やカボスのような柑橘の香りが特徴的な果実味と、爽やかな酸味のバランスが取れた辛口の白ワイン。発酵時の炭酸ガスが僅かに残り、後味にほのかな塩味や苦みも感じられます。甲斐ワイナリーhttps://katerial.jp/shop/products/list?category_id=78&name=天保5年、風間懐彗により酒造業を創業し、その歴史を感じさせる古き良き蔵屋敷のワイナリー。赤ワインは外来種で日本の繊細な味覚と食文化に合う上質なワインづくりを目指しています。かざまメルローブルーベリーや野イチゴ、瑞々しい果実味の心地よいアロマ、口当たり滑らかな赤ワインです。約一年間小樽熟成することで、複雑な樽香をバランスよくまとい、さらに瓶熟成により華やかさと柔らかなタンニンを持つ味わいに仕上げています。MGVs(マグヴィス)ワイナリーhttps://katerial.jp/shop/products/list?category_id=84&name=甲州市ワイナリーの中で大注目の数少ない新興ワイナリー、MGVs。塩山を拠点とする半導体会社の自社工場をワイナリーにリノベーションしました。K216 白 一宮町甲州種100%ワインで、オークチップを使用したワイン。オークチップを4週間ワインに浸したことにより、チップ由来の華やかなナッツ系の香りと、スモーキーな味わいが特徴的なワインです。岩崎醸造https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=89&name=甲州ぶどうの発祥の地「岩崎」で醸造免許者130名が1941年に共同で設立したワイナリー。地元では「ホンジョー」の愛称で親しまれ、個性豊かなワイン造りを心がけています。ホンジョー勝沼ロゼ甲州と甲斐ノワールをブレンドした珍しいタイプのほんのり辛口のロゼワイン。甲斐ノワールは山梨県果樹試験場が育種した種。甲州由来の果実味のアロマの中に甲斐ノワール由来のスパイス香がほのかに感じられます。白百合醸造(L’ORIENT WINE)https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=90&name=L’ORIENT WINEの“ロリアン”は、東洋を意味するフランス語。多様な酒類を展開しており、ボトル詰め・農作業体験など様々な体験ができるワイナリーです。勝沼甲州勝沼町産甲州ぶどうのみを使用し、辛口で酵母の風味や旨味、香りの残るシュール・リー製法で醸造しました。このワインは勝沼ワイナリーズクラブ品質審査委員会の厳しい検査に合格した品質保証ワインです。蒼龍葡萄酒https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=81&name=創業100年を超える歴史を持つ、伝統あるワイナリー。柑橘系のフルーツを思わせるフレッシュ&フルーティなタイプから、複雑で力強く重厚な味わいのものまで、ラインナップが豊富です。日川渓谷メルロ&プティ・ヴェルド黒果実を思わせる香りをふんわりと包み込む樽香が上品な赤ワイン。キメの細かいタンニンや果実味が豊かに広がり贅沢な余韻へと続きます。メルロとプティ・ヴェルドの特徴がバランス良く味わえ、熟成させても楽しめる秀逸な本格赤ワインです。丸藤葡萄酒工業https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=94&name=「ルバイヤート」は詩人「日夏耿之介」の命名によるもので、伝統の辛口甲州をはじめ、シャルドネなどの欧州品種の栽培・醸造を試み「世界に誇る日本のワイン」を目指しています。ルバイヤート甲州シュルリーフレッシュな果実の香り、ボリューム感のある味わい、きれいな酸の余韻やほのかに感じられる甘味などがバランスよくシャープに仕上がった辛口ワイン。魚介類などに合わせて楽しんでいただきたいワイン。勝沼醸造https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=75&name=数あるワイナリーの中でも「甲州ワイン」造りに特化したワイナリー。「人」と「自然」の関りによって映し出されるワイン造りを実践しています。アルガーノ クランステンレスタンク内で発酵したマスカット・ベーリーAとカベルネ・ソーヴィニヨンブレンドしました。ブラックベリー、いちごのような香りを持ち、しっかりとした酸とタンニンが調和されており、飲み心地の良い印象です。シャトージュンhttps://katerial.jp/shop/products/list?category_id=88&name=ファッションメーカー「JUN」のワイナリーとして1979年に誕生しました。醸造責任者が栽培・醸造・瓶詰などすべての作業に携わり、一切妥協を許さないワイン造りをしています。ジュンスパークリング爽やかな発泡が特徴のワインは、食前酒としても、そのまま食中酒としても楽しめます。ケーキやタルト・フルーツなどデザートに合わせるのにも最適です。赤、白、ロゼ、オレンジ。種類も様々なワインが楽しめるプレミアムワイン定期便 12本を、ぜひお試しください。https://katerial.jp/shop/products/detail/244

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  • 山梨県産 ぶどうのすすめ

    ぶどうについて「甲州八珍果」のひとつとされるぶどうの歴史は古く、山梨県は初の栽培の地であり現代においても生産量日本一を誇ります。ぶどうは大きく緑系・赤系・黒系に分かれていて、それぞれ色が違うのは「アントシアニン」と呼ばれる色素の量で、果皮の色が決まってきます。アントシアニンが多いほど、黒に近いぶどうになるのです。ぶどうの保存方法常温で届いたら、食べる数時間前に冷蔵庫の野菜室に。冷蔵で届いた場合はすぐに野菜室で保存しましょう。ぬらした新聞紙やラップに包んで房ごと野菜室で保存。なるべく早めにお召し上がりください。ぶどうの種類<巨峰>香りがよく、味は濃厚。皮はむいて食べます。冷凍してもおいしいのでおすすめです。名前は富士山にちなんでつけられました。<藤稔>大きな粒が特徴で、味も濃く程よい酸味があります。皮はむきやすくジューシーで、リピーターの多い品種です。<ピオーネ>甘みと酸味のバランスが良い。皮はむいて食べます。種なしが主流になりつつある品種です。<シャインマスカット>甘みが強く、マスカットの香り爽やか。皮ごと食べられるのも魅力です。100年に一度といわれるほど、大成功した品種です。<クイーンニーナ>赤系の品種で、大粒濃厚な甘さに果汁も多めです。一度食べるとハマるが人続出する品種です。<マイハート>親はウインクとシャインマスカット。粒がハートの形になる珍しい品種です。皮ごとパリッと食べられます。ぶどう豆知識ぶどうは実がなる位置によって甘さが違います。房の上部が糖度が高く、下に行くにつれて糖度が低くなります。これは太陽の光を浴びて、枝に近い方の粒から熟していくためと言われています。なので、下から上へと食べ進めることで甘味をより長く味わうことができますので、是非試してみてください。https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=50

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  • 山梨県産 もものすすめ

    ももの種類(時期は目安)白鳳(日川白鳳、一宮白鳳、本白鳳)6月下旬~7月下旬ジューシーで繊維が少なく、クリーミーで香りの強いもも。白桃(浅間、紅くにか、なつっこ)7月中旬~8月下旬実は大きく、糖度高め。肉質は固めで、酸味が少ないもも。晩夏桃(幸茜、さくら)8月中旬~8月下旬白桃系の中でも肉質が固く、しっかりとした濃厚な甘みのあるもも。北海道出身のオーナーは白桃、山梨県出身のスタッフは晩夏桃がオススメ!色々なももを食べ比べて、お気に入りをみつけてみてください。もものおいしい食べかた<届いたら>とどいたら蓋を開け、室内の涼しい場所で保存してください。柔らかめがお好みの方は1~2日追熟させてください。<洗いかた>ももの皮についている毛でかゆみの出る場合があるので、軽く洗ってください。<切りかた>1~2時間冷蔵庫で冷やし、果皮の近くに旨味がぎっしり詰まっているので、なるべくうすーくむいてください。<保存方法>どうしても食べきれない場合は、アルミホイルでピタっと包んで野菜室で保存を。なるべく早くお召し上がりください。県民大好き!「固いもも」知っていますか?山梨県ではももは買って食べることは少なく、おすそ分けでもらうことがほとんどです。山梨県のももの生産量は長い間ずっと全国一。右を見ても左を見ても畑だらけなのです。新鮮なももしか知らない山梨県民が食べるももは、甘くてカリッとしています。やみつき必至の地元民おすすめの食べ方、追熟前の固いもも、是非試してみてください。https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=48

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  • 山梨の桃もも〜一度食べたら忘れられない!記憶に残るマルトウ農園のもも

    山梨県笛吹市は、生産量日本一を誇る桃の産地。3月下旬から4月上旬にかけて開花を迎える桃の花は鮮やかなピンク色で、その見事な景観から「桃源郷」と名がつくほどだ。そんな桃の郷にあるマルトウ農園は、旬の時期を迎えると、県内外から桃の注文が殺到する。今回は、その人気の桃を作る雨宮政揮さん・佳江さんご夫妻を訪ね、桃に注ぐ情熱を伺った。どの実を採ってもおいしい桃を育てる努力マルトウ農園のある一宮町周辺は中山間地域にあたり、扇状地特有の傾斜によって山から土が流入し、肥沃な土地に恵まれている。昔は桑や米作が中心だったが、その土壌の良さと日照時間の長さから次第に果樹が広まっていった歴史があるという。祖父の代から続くこの地での桃づくりに雨宮さんが就いたのは、2007年頃。都内の広告代理店でデザイナーをしていたが、両親の年齢も考慮し、家業を支えるため山梨に戻ってきた。慣れない農作業にくたくたになりながらも、地元の若手農家の会“東仲倶楽部”に入るなど、おいしい桃づくりのための勉強を惜しまなかった。「扱う資材や剪定方法など、良い技術があると聞けば、県外であろうと視察に行きました。福島まで日帰りで行ったこともありましたね」と当時を笑いながら振り返る。 そんな努力を重ねながら、地道に桃の木と向き合ってきた雨宮さんが、農園の特徴として夫婦で声をそろえて挙げるのは、木の形状と間隔の広さ。奥さまの佳江さんに勧められGoogleマップで農園上を見ると、パラボナアンテナのような枝が伸びる桃の木が等間隔で並んでいる様子がよくわかる。通常は2本の主枝を広げる開心自然型の枝の形状を、ここでは4本に増やし、より太陽光を受けられるようにしている。また、木と木の間隔も他の農園であればもう一本ずつ植えられるほどに広く設定しているという。「スーパーで買った桃で当たりはずれがあるように感じたことないですか。桃にとって光の条件はとにかく大事。100点満点とはいかなくても万遍なく栄養が行き渡ったおいしい桃を作りたいと試行を繰り返し、今の形状にたどり着きました」。リスクと常に隣り合わせ 「甘熟桃」へのこだわりジューシーな桃の代表格である白鳳を筆頭に、日川白鳳、御坂白鳳、あさま白桃、なつっこ、紅くにか、川中島白桃の全7種を育てるマルトウ農園のおいしい桃づくりへの配慮は、先述だけにとどまらない。もともとの肥沃な土地を活かし、化学肥料、除草剤を一切使わず、有機100%の環境に優しい栽培を心がけ、今でこそスタンダードな草生栽培も、この農園では導入して50年近くになるという。深く根を張るライ麦を緑肥に使用し、肥料持ちが良い反面、酸素の供給が難しいとされる粘土質なこの地域の土壌の弱点も克服している。  そして、最大の魅力は完熟での収穫にある。スーパーなどに並ぶ桃は、店頭に並ぶまでの時間を加味しながら収穫を行うことが多いが、雨宮さんは「未熟な実は絶対に採らない」と決めている。「青いうちにもいで数日後に色がのってきたとしても、もいでしまえばそれ以上糖度が上がることはありません。木の上でギリギリまで待っていれば糖度も上がるし、実も大きくなる。おいしいものを届けるために、これはどうしても譲れないですね」。それほどの強い信念を持って収穫期を迎える雨宮さん。シーズンになれば雨が降ろうが、台風が来ようが、毎日たった一人で畑に入り、熟した実だけを採ってくる。さながらアスリートのようと周囲の人が言うほどの重労働をこなすのだ。もちろん、完熟となれば傷みが早いためリスクも伴う。1日ずれただけで商品価値がなくなったり、落ちてしまったり…。そんな瀬戸際を見極め収穫した桃を、ベストな状態で届けるため、カテリアルをはじめ収穫後すぐに配送できるよう取引先も厳選しているという。たった一つの桃から広がるコミュニケーションデザイナーから農家と、長年ものづくりに携わってきた雨宮さんは、前職では感じることのできなかったものづくりの価値を農業に見出しはじめていた。「農業という仕事の本質を考えた時、TVで見かける田舎のおばあちゃんが自分で作った野菜を“これ持っていけ~”と渡す姿が思い浮かぶんです。一生懸命作ったおいしいものを食べてほしい、わかってほしいという気持ちからくるその行動こそ、農業ならではのコミュニケーションだと感じる」という。農園と食べてくれた人、食べた人が贈った人。たった一つの桃を起点として、繋がりが広がり、それによって生まれる対話に面白さを感じているというのだ。「今はスマホやネットなど簡単に情報発信もできるけど、その分記憶をかすめるのも一瞬。でも、リアルな体験として、おいしかったものは忘れないですよね。そこそこおいしいではなく、本当においしいものは一生記憶に残って、一緒に食べた人と何年も話をするじゃないですか。そうやって、食べた人の記憶や思い出に残せるくらいの桃を作れたら最高だな」と沸々と湧き上がる想いを語ってくれた。 桃の時期まで、あと数ヶ月。まだ今年のパンフレットを送っていないというマルトウ農園だが、心待ちにしているファンからはすでに注文が入り始めている。甘い果汁がたっぷりと詰まった雨宮さんの桃は、新たなコミュニケーションツールとして多くの人々のもとへ今年も旅立っていくだろう。マルトウ農園https://katerial.jp/shop/products/detail/10

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  • 豊かな香りと甘みが自慢!絶対味わうべき大沢農園のいちご

    山梨県は、古くから桃やぶどう、すももやサクランボなどのフルーツが多く生産されていることで知られるフルーツ王国である。中でも、都心から車で片道約1時間30分と気軽に行き来できる峡東地域は、旬の味を求めて年間多くの人が訪れる果樹栽培が盛んなエリア。今回は、この地域では珍しいとされながらも県内外に熱狂的なファンを持つ大沢農園のいちごについて、代表の大澤澄人さんからそのこだわりや想いを伺った。皆がやらないことに挑戦したかった50年以上果樹をメインとした農業を営んできた大沢農園は、5月に旬を迎えるハウスサクランボを皮切りに、サクランボ、すもも、桃、シャインマスカットなど、年間を通じてさまざまなフルーツをこだわり農法で生産する人気農園の一つ。そんな大沢農園が、いちごの栽培に着手したのは2014年頃のこと。生産者が少ないこの地域でのいちご栽培は、“おいしいいちご”のイメージを持たない人もいるかもしれない。「いちごの生産地として有名な栃木県や茨城県は、平らな土地でサラサラと柔らかい土が多く、いちご栽培に適していると言われています。斜面が多く、粘土のように硬い土で、いちごの栽培を始める人ははっきり言って私くらいでしょう」と大澤さん自身もそう笑うくらいだ。それでも挑戦を始めたのにはいくつかの理由があり、「周りがやらないことだからこそチャレンジしてみたい」という野望も一つ含まれていた。土地を平らに整地し、土をすべて入れ替え、不格好な畑に合わせたハウスを作るなど、やるべきことは泉のように溢れ出たという。大沢農園のいちごが愛される秘密「一番苦労したのは、当たり前ですが近くに先人がいなかったことです。ネットで調べたり、本を読んだりすること以外にも、県内のいちご農家を訪れ、リアルな現場で色々と学ばせてもらいました。とにかく、おいしいいちごを作りたかった…その一心で向き合ってきたという感じです」と大澤さん。ハウスの中は、室温を日中約25度に保ち、湿度や二酸化炭素濃度等も全てコンピューターで管理している。農薬は極力使わず、土台である土作りを大切にしながら、いちごにとって最適な環境を作り上げるのが大沢農園のスタイルだ。栽培品種は、三重県で開発された「かおり野」。豊かな香りと強い甘みが特徴で、幅広い世代から支持されている人気の品種だ。「試行錯誤を繰り返し、今の味にたどり着きました。苦労することも多いですが、いちごはすぐに反応してくれるところが面白いです。葉に栄養がいくと次の日にはパリッと元気な葉になったり、水を与えすぎると旨みが少なく水っぽい味になったりします。他フルーツではここまで分かりやすく反応してくれないので、自ずと情が湧いてきますよね」。真面目にいちごと向き合い続ける先代が始めた農業を28歳の時に受け継いでから17年が過ぎた。当時、農業未経験者だったこともあり、栽培種目を広げず、品種に特化した生産に切り替え、ひたすら農業に向き合った。その頃から力を注ぐサクランボ栽培は、サクランボ狩りを楽しめる観光農園として今や広く周知され農園の顔とも呼べる存在だ。「私たちが作ったサクランボを目の前で楽しんでくれる人たちがいる。そこには大きな責任を感じますよね。だからこそ、日々手を抜かず、真面目に作っていきたいって思えるんです。いちごは、観光農園として開放はしていませんが、想いは変わりません。食べてくれる人のことを考えながらこれからも真面目に向き合っていきたいと思います」と大澤さん。 今年(2022年)は、寒さが厳しく、いちごの味が心配されていたが、徹底した管理の甲斐あり、味も良好だという。栽培面積6アールの小さないちご畑には、食べ頃を迎えた大粒いちごが今日もキラキラと輝いているのだろう。大沢農園株式会社フルーツオーサー https://katerial.jp/shop/products/detail/60

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  • 歴史を大切にする勝沼醸造

    1400年目に繋ぐ、サステナブルな甲州ワイン造り山梨原産の固有品種、甲州の歴史を遡ればおよそ1300年前。シルクロードを経た東西交易に よってヨーロッパから甲州市・勝沼にのちに甲州ぶどうと呼ばれるぶどうが上陸したとされている(諸説あり)。以来甲州ぶどう発祥の地として知られる勝沼に、日本初のワイン醸造会社「大日本山梨葡萄酒会社」が設立されたのが明治十年。山梨で大々的にワイン造りが始まったのは今から約140年前になる。勝沼醸造はその時代とほぼ同時期に建てられた築130年の日本家屋がそのまま社屋になっている。社屋は有形文化財に指定されており、勝沼醸造のワイン造りの歴史を象徴する建物。そこから世界に通用するワイン造りを目指し、志高く研鑽を積んできた。「父は最初は洗練されたシャトーにしたかったようですけど、それを辞めたのはワイン造りの本場フランスの人たちが歴史と伝統を大切にしていることに気付いたから。フランスのシャトーと同じで日本家屋というのは日本固有の、歴史を大切にするかたちなんだと、建て替えることなく今に至ります」3代目・有賀雄二さんを父に持つ有賀淳さんは言います。この価値観こそが勝沼醸造のワイン造りを表していると言って良い。世界に誇れるワイン造りを目指してきたからこそ、フランスを真似するのではなく、その土地独自のオリジナリティとスタイルを貫くことこそ誇り。そのスタンスはぶどう栽培にも活かされている。良いワインは良いぶどうから川を挟んで観光客で賑わうワイナリーのテラスを横目に、裏手には勝沼醸造の自社畑が広がりる。勝沼醸造は特に甲州に特化したワイナリー。当初はフランス・ブルゴーニュ地方を原産とするシャルドネやボルドー地方で有力なカベルネ・ソーヴィニヨンなどの樹を植えていたそうだが、雨も多く、気温は全国で最高気温を記録するような土地では、世界と戦えるぶどうは作れないと、醸造する白ワイン用の品種を全て甲州種に切り替えた。つまり甲州種の栽培が山梨県・勝沼の風土にいちばん適しているということだ。「良いワインは良いぶどうから」をモットーに掲げる勝沼醸造は1300年という長い歳月を山梨の土地で生き抜いてきた甲州種に、「世界に通用するワイン」という夢を託した。 勝沼醸造で仕込まれる甲州の10%が自社畑、90%は甲州市の契約農家さんの元で栽培されたものを使用している。ひとつの枝から収穫できる房の数が増えすぎないようコントロールすることで、房に行き渡る栄養価を多くし糖度を高める栽培を行っている。もともとワイン品種の伝統的栽培方法である垣根栽培も行なってきたが、勝沼エリアで一般的なぶどう栽培に用いられてきた棚栽培に戻している畑もある。「甲州市のぶどう農家さんたちが行ってきた棚栽培は作業の負担や効率を考えると合理的。その土地を知る先人たちの知恵が備わっているからこそ、高温多湿な勝沼でぶどう栽培するには最適な方法のひとつだと考えています」 淳さんの話から、人とぶどうという、勝沼醸造が大切にしてきた価値を持続可能(サステナブル)なものにする農業を考え、今なお改良を続けていることに土地とぶどう栽培への愛情がうかがえた。“変な甲州ワイン”を生んだ醸造マジック勝沼醸造はその醸造工程にもこだわっている。勝沼醸造ではぶどう本来の糖度を活かし、砂糖を極力加えない醸造を行い甲州種の味を高めている。それが冷凍果汁仕込みとよばれる勝沼醸造のワインの要となる醸造法。甲州種を搾った果汁を一度低温凍結させ、凍った水分だけを廃棄。残った果汁を凝縮し醸造することでその味わいを磨き上げた。今でこそ比較的大きなワイナリーが取り入れポピュラーとなった冷凍果汁仕込みだが、勝沼醸造では1993年から行っている。いいことずくめの冷凍果汁仕込みだが、コストがかかるという大きなデメリットがある。しかし、「価値はコストと別物。たとえ一樽でも最高のものを」と、信念を曲げずに醸造を続け、こうした努力がワイナリーの看板ブランドとして人気を博す「アルガブランカ」として実を結んだ。1400年目にバトンをつなぐために勝沼醸造は3代目・有賀雄二さん、醸造責任者に長男の有賀裕剛さん、営業責任者に勝沼醸造を案内してくれた次男の有賀淳さん、栽培責任者は三男の翔さんが担当している。一度は別の仕事、別の道を歩んでいた有賀家でしたが、再び雄二さんの元へ集い、志を共にすることとなった。裕剛さんはフランス・ブルゴーニュで醸造を学び、淳さんは大手酒販メーカーで営業を経験、翔さんは畑で実践を積んだ。それぞれの個性が作用しあうことで、「世界に通じる甲州ワイン」という勝沼醸造の大いなるロマンの歯車を動かしている。世界の舞台に上がるために、真似るのではなく、アイデンティティを活かす。それこそがワイン造りでたびたび用いられる“テロワールを表現する”ということだったのだ。テロワールとは端的に言えば風土の特徴を表す。甲州市・勝沼の気候、土、地形、ぶどう、そして人。それらが合わさることで勝沼醸造の甲州ワインの味ができあがる。同じ甲州市であっても厳密には地質も違えば標高に差もあり、気候も違う。それぞれの畑に合わせたワイン造りを行い甲州ワインの更なる可能性を追求している。ワインでありながら、魚や和食に合う革新的な甲州ワインは各国首脳が集まる席で振る舞われるなどワインとしてのステータスを築き上げるほどに躍進を遂げた。勝沼醸造のワインもJALやANAのファーストクラスでサーブされるほど認知され、そのプライオリティは高まっている。まさに甲州の地が育んだ大河の一滴は海のように広がり世界中で愛されているのだ。甲州ワインの礎の一端を担う勝沼醸造は、ヨーロッパから日本へ甲州ぶどうが渡った1300年の悠久の時に思いを馳せて、1400年目へとその歴史を紡いでいく。勝沼醸造株式会社https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=75&name=

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  • 自然と調和するワイナリー、くらむぼんワイン

    山梨県産のワインに新たな革新をもたらす宮沢賢治の童話「やまなし」に登場するカニの兄弟が話す言葉。記憶の片隅に残っている台詞がよみがえる「クラムボンはわらったよ」くらむぼん。何を指すかは諸説あり、何かと定義するのは無粋というものだ。ロマンあふれる気の利いたネーミングセンスに自然と足が向く。くらむぼんの名に込められた思いくらむぼんワインは大正2年創業。初代である野沢長作が自家ぶどうを使い醸造を始めてから、日本ワイン発祥の地山梨県勝沼で100年以上の歴史をつむぐ。ワイナリーのロゴマークにも使われ、くらむぼんのシンボルである築130年の母屋は、もともと養蚕(ようさん)を営み、シルクを紡いでいた農家の屋敷を移築したもの。玄関の敷居をまたぐと、心地良い静寂と木造古民家の温かみに包まれる。正面のワインショップに隣接した部屋には古くから収集されているワインにまつわるレトログッズやワイン造りに使われる古道具などを展示。先代が集めていたもので、ワイン造りの歴史を知る上では貴重な資料だ。玄関口の左手から奧へと続く、縁側から差す光が美しい客間にて、4代目野沢たかひこさんは静かな語り口でくらむぼんワインの歴史とこだわりについて話してくれた。2015年、社名を変更したのだという。もともとの名は山梨ワイン。2013年からワインの地理的表示基準により、山梨県産ぶどう100%のワインにはラベルに「山梨」と表示される。社名と産地表示を区別するためでもある新社名は宮沢賢治の童話「やまなし」に登場する「クラムボン」からとった。「宮沢賢治は自然との調和を大切にしている作家です。わたしたちのワイン造りに通じる部分が多くあったのです」。くらむぼんのワイン造り代々受け継がれてきたワイン造りだったが、先代のころ、野沢さんは当時の山梨のワインにあまり魅力を感じていなかった。しかし、南仏のニースに語学留学をした際に、地域の食材を活かした南仏料理とワインとのマリアージュが野沢さんのワインへの見方を変えた。ワインとはこんなにもおいしく、心躍るものなのかと。帰国したときには日本のワイン造りもより本格的になり、盛り上がりに比例して品質も向上していた。山梨でしかつくれないおいしいワインを造りたい。こうして4代目を受け継ぐことを決意し、野沢さんの挑戦は始まった。土地特有の風味を指すテロワールの追求を胸にワイン造りに励む。さらに、フランスの南西部にてビオディナミと呼ばれるワインとの出会いが大きな転換のきっかけとなった。ビオディナミとは自然派ワインの中でも、一歩進んだ製法として注目されている。化学的な要素を減らすだけではなく、自然の力を引き出し最大化することに重きを置く考え方だ。膨大な時間と手間がかかる代わりにテロワールをダイナミックに味わうことができる。ビオディナミワインとの出会いを機に2007年、自社ぶどうの栽培を化学農薬や殺虫剤を使わず、耕さず、肥料も与えない自然に即した栽培へとシフトし、発酵に使う酵母もぶどうの果皮に付く土着の天然酵母を使用することにした。「ぶどうが傷むので、最初は病気などに悩まされましたが、だんだんと強くなって環境に適応していくんです」。自然の持つ力を信じ、調和することを目指したワイン造りがくらむぼんワインの大きな特長だ。自然のままに、おいしいワインを畑は勝沼の鳥居平地区とワイナリー近くの七俵地の6つ。合わせて2ヘクタールの敷地面積を持ち、その半分で日本原産の「甲州」を栽培している。ほかには、マスカットべーリーA、アジロンダック、カベルネソーヴィニヨンなど。ワインセラーは重厚な雰囲気が漂い、地下へと続く。90年以上前に手で掘られたものだ。貯蔵に使われる樽はフランス産のオーク樽を使用。使用する樽の産地によって、樽本来の持つ香りがワインの味に大きく影響する。このように、栽培から貯蔵に至るまで、自然本来の持つ力、環境との調和をもって一貫したフィロソフィーのもと野沢さんはワイン造りを行っている。目指すのは口に含んだときに、勝沼の地を思い浮かべるようなワイン。そのために、長い歴史に支えられるワイン造りを一つ一つ見直し、自然に即した栽培を実践しているのだ。「待て待て、もう二日ばかり待つとね、こいつは下へ沈んで来る、それからひとりでにおいしいお酒ができるから、さあもう帰って寝よう」。宮沢賢治の著作「やまなし」の最後、川の水面に落ちた梨を見上げて、蟹の父親が子どもたちに言う。くらむぼんワインの精神に通じる一幕である。手を加えずに、自然のままに。自然との調和は待つという忍耐力が必要だ。結局、人にとっては時間も手間もかかるということ。その代わりにおいしいワインができあがる。野沢さんの静かなる挑戦は、自然との対話を通して続いていく。くらむぼんワインhttps://katerial.jp/shop/products/list?category_id=93&name=

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  • 激動の時代をくぐり抜けた機山ワイナリー

    山梨に根差したワイン造りを探求山梨県甲州市、信玄公の法名からとられた機山の名を冠するワイナリーがある。機山洋酒工業株式会社(以下:機山ワイナリー)は昭和初期の頃に創立し、80年以上の歴史を持つ。明治3年発祥といわれている山梨ワイン産業史において昭和5年から約10年にわたりワイナリーが乱立した時代があり、現在山梨は80を超えるワイナリーが存在する名実共に日本一のワイン産地。塩山の笛吹川の左岸に自社農園を持ち、育てているぶどうは全6種。品種によって垣根作り、棚と仕立てを変え、垣根には雨がぶどうの房に直接当たらないようにレインカットと呼ばれる工夫が施されている。白品種は甲州、シャルドネ。赤はメルロー、プチヴェルドー、カベルネソーヴィニヨン。ブラッククイーンと呼ばれる日本ワインの父、川上善兵衛の交配した品種を合わせて4品種。日本の赤ワイン品種の代表格マスカット・べーリーAも川上善兵衛が長年の研究の末に誕生させたもの。機山ワイナリーでは先代より引き継がれたブラッククイーンを栽培している。ワインを醸造するステンレスタンク、ブランデーを仕込む蒸留器祖父の代から続く機山ワイナリーは敷地内に醸造所を構え、時代に合わせワイン造りを刷新し、年に約4万本を出荷している。元々は土蔵だったという工場は、現在の工場に建て替える際に解体されてしまったが、一部の土壁は建て替えられた新しい壁の内側に添えられて残された。構造上の意味は持たないが、歴史の語り部として現在も工場を見守る。ワインを醸造するステンレスタンクの他、機山ワイナリーではぶどうを使った蒸留酒、ブランデーも仕込んでいるため、蒸留器がレンガ造りの釜に鎮座する。時代を経て醸される堂々とした風格は工場内でも存在感を放つ。スパークリングワインは伝統のシャンパーニュ製法で仕込まれ、機山ブランドの柱でもある。トラディショナルブリュットの名にふさわしい、コストパフォーマンス以上の洗練された味わいが評判。伝統と新しさのバランスが生み出す味わい斜め向かいに位置するセラーはヨーロッパテイストの佇まいだが、屋根に敷かれている赤色の瓦が印象的。ドイツ人建築家が、伝統の蔵をモチーフに設計している。このように、製法や設備を見渡すと、伝統を抱きながら静かなる革新を繰り返し、繊細なバランス感覚を持って歴史の道を歩んできたことがうかがえる。ワイン造りでも古いものを大切に扱い、近代的な要素を丁寧に取り入れ時代に合わせ、深い味わいを生み出している。機山洋酒工業株式会社https://katerial.jp/shop/products/list?category_id=73&name=

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