笛吹市ー井上さん家の極上シャインマスカット

笛吹市ー井上さん家の極上シャインマスカット

石和町・笛吹川沿いでぶどう栽培に取り組むユーモア溢れる園主

     山梨県笛吹市石和町は、8月からの35度を超える猛暑が9月に入ってからも続いていました。寒暖差の大きい盆地特有の気候はぶどう栽培には最適で、山梨県は生産量・栽培面積ともに日本一を誇ります。富士川水系の一級河川である笛吹川沿いに位置するぶどう農家が今回の主役です。

     

    お盆明け頃からは山梨県内の至るところで、収穫作業の光景を目にします。この時期、ぶどう農家は日の出とともに畑に向かい、収穫と出荷作業に追われます。今回紹介するぶどう農家もまた慌ただしい殺伐とした雰囲気なのかと思いきや、出迎えてくれたのはなんとも可愛らしいシャインマスカットと、にこやかな笑顔の園主・井上正人さんでした。
    井上家は代々つづく専業農家で、ぶどう栽培は井上さんのお父さんが 70a (7,000) の畑に苗を植え、デラ、甲州、巨峰、マスカットを栽培していました。井上さんは大学卒業後、サラリーマンとして働いた後、井上家のぶどうを守っていきたいとぶどう棚を作りなおし、本格的にぶどう農家としてのキャリアをスタートさせました。

     

    目が行き届く範囲で、ぶどう11粒に愛情を込める

     通常ぶどうは、苗を植えてからまとまった量を確保できるようになるまでは、最低でも34年はかかると言われています。手探り状態で始めた初収穫の年、シャインマスカットは全て玉割れしてしまい、出荷できる状態ではありませんでした。

    「幼い頃から農業が身近な存在であったとはいえ、いざ自分でゼロからぶどうを栽培しようとしても右も左も分からなかった。これではダメだと思い、高品質なぶどうを作る農家に助言をいただきながら、良いと思ったことはすぐに取り入れました。本格的に農家になって7年目を迎えるが、ぶどう農家としてはまだまだ半人前。毎年の経験を活かし、試行錯誤の中で品質向上に努めています」と井上さんは話します。

      

     ぶどうに向き合う謙虚な姿勢、明るい人柄は近所のぶどう農家にも愛され、井上さんの元にはたくさんのぶどう農家が自然と集まります。取材に訪れた日も、各々収穫したぶどうを目の前にしてぶどう談義が止まりませんでした。

    地域で情報交換していくことで、地域としてのぶどうのブランド価値の向上に繋がります。井上さんもまた、地域の農家仲間との情報交換を通して高品質なシャインマスカットを安定して収穫できるようになりました。特に自身の目が行き届く範囲でぶどうを育てているからこそ、土壌や樹の状態を細かく把握し、最良のタイミングで収穫できます。井上さん家のシャインマスカットは、11粒にハリとしっかりとした甘さがあり、全体的に品質のムラがないぶどうに仕上がります。

     

     

    今あるぶどうを大切に育て、高品質なぶどうを山梨県から届ける

    大雨の年もあれば干ばつの年もあり、暑い日もあれば寒い日もあり、ぶどう農家は天候と戦いながら1年に1回の収穫を迎えます。

    「これからも天候に負けない栽培方法の追求をつづけ、ぶどうの特徴や個性を感じ取り、分かり合えるようぶどうと向き合っていきます。畑を広げたりはせず、今あるぶどうを大切に育て、山梨県から高品質で安心・安全なぶどうを皆さんに届けていきたいです。」

    井上さんは、今日も食べて下さる方々の笑顔を思い浮かべながらぶどう栽培に向き合います。

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