【ドメーヌヒデ】 日本のナチュラルワインの造り手の「今」

【ドメーヌヒデ】 日本のナチュラルワインの造り手の「今」


日本のナチュラルワインの造り手として、絶大な人気を誇るドメーヌヒデ代表の渋谷英雄さん。50歳でワインへの道へ転身した渋谷さんが今、「日本の原風景」を新たな形で後世に残そうと情熱を燃やしています。ドメーヌヒデのこれまでの歩みと「今」に迫りました。

 

50歳でナチュラルワインの道へ。

多彩なキャリアと探究心から生まれるワイン

ドメーヌヒデ、ぶどう栽培

ナチュラルワインを造るドメーヌヒデが山梨県南アルプス市でワイナリーを立ち上げてから10年弱。渋谷さんの造る自然に正直なワインは、世界有数の国際コンクールでも高い評価を受けています。

飛行場長やプロダイバー、臨床検査技師など異色な経歴を持つ渋谷さんが、「最後はモノづくりをしたい」と50歳で始めたワイン造り。ビオディナミ農法を取り入れた自然なぶどう栽培や、野性酵母での発酵や添加物を必要最小限にとどめた醸造方法は、多彩なキャリアと飽くなき探究心から生み出されています。

 

 

  「ビオディナミ」の考え方を生かしたワイン造り。

最適な土地の条件が重なったのが南アルプス市でした

ドメーヌヒデ、ビオディナミ

渋谷さんが目指すのが、日本における「ビオディナミ」の実践です。ビオディナミ(バイオダイナミック)は、化学農薬を使用せず無肥料・不耕起栽培で行うのと同時に、剪定、収穫、ワイン醸造など全てにおいて月の満ち欠けのサイクルに合わせて作業を行います。雨が多い日本の環境化において、化学農薬を使用せず無肥料で健全なぶどうを栽培することは容易なことではなく、特にぶどう栽培における土地選びはもっとも重要な選択の一つです。

 

ドメーヌヒデ、南アルプス市

 「1年ほどかけて全国46ヶ所にペットボトルに入った水を地面に撒き歩きました。雨が多く土壌の水分量も多い土地はぶどうに病気が発生するため化学農薬を使う必要があります。水が染み込むスピードがもっとも速い場所が南アルプス市でした。」(渋谷さん)

南アルプス市は、「月夜にも灼ける土地」と昔から言い伝えられているほど日照りが良く乾燥した場所。旧日本陸軍の秘密飛行場跡地もあり、空港時代の経験から「飛行場は雨の少ない土地に建設されることを知っていた。」と渋谷さん。また、同市の西側には日本第二位の標高である北岳がそびえ、西日が差さず昼夜の寒暖差が大きいことがぶどうが日焼けせず、健全なぶどうを栽培する上では好適地な場所でした。

 

 

ぶどうのポテンシャルを引き出す嘘のないワイン造り。

日本の干しワインの極みを求める

ドメーヌヒデ、ナチュラルワインづくり
日本固有種のマスカット・ベーリーAを中心に、ぶどうのポテンシャルを見いだす嘘をつかないナチュラルなワインを造っています。なかでも渋谷さんが現在力を入れているのがイタリアのアマローネのような干しぶどうから造られるワインです。

 

ドメーヌヒデ、干しワイン 「もともとは、なんのツテもなかったワイナリー創設時に醸造用ぶどうを提供し助けていただいた契約農家のあばあちゃんが栽培するぶどうを活かしたい、という想いから始めました。」と渋谷さん。酸を残すため、早摘みしたぶどうを温度・湿度が管理された干し小屋で約3ヶ月間乾燥。均一に乾燥するよう絶えず湿度や気温の調整を行います。乾燥したぶどうは果汁の量も少なくなるため通常のワインに比べて必然的に生産量が少なくなります。

 

 

ドメーヌヒデ、干しワイン

イタリア語「アマーロ(苦味)」が語源のアマローネワイン。試行錯誤するなかで、苦いぶどうをあえて残すことを意識し始めたと言います。

「このワインを造り始めた当初は、ワインの品質に影響するからと晩腐がついたぶどうは綺麗に取り除いていました。ある年、晩腐がついたぶどうを意識的に残してみたところ味わいに深みが生まれました。」(渋谷さん)

ネガティブに捉えられがちな要素をあえて活かすことで味わいのバランスが整えられ、深みのある苦さと果実味あふれる豊潤な味わいになっています。2024年で7年目になる干しワインづくり。日本の干しワインの極みを求めて毎年挑戦をつづける渋谷さんの元にはその知見を得たいと大手ワイナリーも訪れています。 

ドメーヌヒデ 〈ホシワイン〉/ ¥18,700

 

 

世界一美しい棚田とぶどう畑の織りなす絶景を後世に残す

ドメーヌヒデ、南アルプス市中野地区の棚田の風景

干し小屋がある南アルプス市中野地区に、ドメーヌヒデは新たに1.2haの新圃場を設けました。南アルプスの天然水をはじめ水が豊富に流れるこの場所は、古くから稲作が盛んに行われ、自社畑の周りには美しい棚田が広がります。

 

ドメーヌヒデ、南アルプス市、ヤマソーヴィニヨンの畑

10年前からの構想がようやくスタートしました。」と渋谷さんが話すこの土地は、美しい景観でありながらも水路が無く傾斜があることから、長い間農作物が植えられることがない遊休畑でした。しかし、標高600mの石が多い斜面は、果樹の根が土深くに広がりぶどうにとっては最適地でした。

10年前は農家としての経験も浅く、この地でぶどう栽培を行うことは夢のまた夢でした。時が経ち、もう一度農家の方に声をかけていただきました。しかし、新しい土地に入るということは、この地を未来につなげる責任も負うということになります。いろんな方に相談し1年間考え抜いた結果、美しい景観を後世に残していきたいという強い決意になりました。」(渋谷さん)

圃場で大切にしたいと話すが景観づくりです。ビニールや支柱は使用せず、近隣の稲作に悪影響が出ないよう無農薬で栽培できるヤマソーヴィニヨンを2024年春に植えました。

 

ドメーヌヒデ、月晴れる、カフェ
この古き良き田園風景を守り、伝えていきたいと、20236月に古民家カフェ <月晴れる> がオープンしました。無農薬で育てられた棚田米を使ったむしぱんが食べられるほか、ドメーヌヒデのワインも味わうことができます。

「近い将来、美しい棚田とぶどう畑の織りなす景観ができることで、『ここで何かを始めたい』と国内外から若者が集まるかもしれないです。私たちは、日本の原風景という価値ある財産を守り繋いでいくために、将来の綺麗な景色を思い描き今できることに一歩一歩取り組んでいきます。」(渋谷さん)

クラウドファンディングを活用して、南アルプス市の農業の現状とこれからの取り組みを知ってもらいサポートの輪を広げるドメーヌヒデ。「大きな構想は人生最後のおじさんの使命です。」。そう答えてくれた渋谷さんの表情は好奇心に満ちあふれ、どこか人に愛される魅力にあふれていました。

 ▼「ドメーヌヒデのアイテムリスト」はこちら

 

 

ドメーヌヒデ

山梨県南アルプス市小笠原436-1

詳細は下記URLを参照してください。

◾︎ドメーヌヒデ

https://www.domainehide.com/

◾︎月晴れる

https://www.instagram.com/domainehide/

 

 

 

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