ワイン造りの1つの形を築いたイケダワイナリー創業者。
代替わりした今も変わらないワイン造り
ぶどうの絵が特徴的なワイナリーの外観
日本を代表するワイナリーが集まる甲州市勝沼市下岩下にワイナリーを構える ＜イケダワイナリー＞。1995年創業以来、「ワインを通じて、造り手と飲み手の心が通い合う」ことを信条とし、勝沼のテロワールを活かした高品質なワインをリーズナブルな価格で提供する家族経営のブティックワイナリーです。
イケダワイナリーの看板犬として3代目を務めるワッフル
NHKドキュメント番組『甲州ワイン たゆまぬ努力で世界のワインへ』という放送回のなかで、イケダワイナリー創設者・池田俊和氏が他ワイナリーにワイン造りのノウハウを惜しみなく伝える姿は、10年経過した今でも鮮明に脳裏に焼きついています。俊和氏が2023年5月に亡くなり、跡を継いだのが長男・池田秀俊氏（以下、「池田さん」）。お父さん（俊和氏）のことが大好きだったというゴールデンレトリーバー・ワッフルを連れ自社農園を案内していただきながら、＜イケダワイナリー＞ について話してくれました。
全国約280のワイナリーのうち、1割が集まっているワイン銘醸地・勝沼
「父は心からワインを愛し、まだ日本のワイン造りが定まっていなかった頃に、1つの形を築き上げたところに偉大さを感じます。 特に勝沼は山梨県の中でも取り分けワイナリーが密集するワイン集積地。ワイナリー同士の繋がりも深く、父も技術は惜しみなく伝え、産地全体でレベルアップを図っていこうという意識が当たり前に根付いていたんだと思います。」
ノンフィクション映画『ウスケボーイズ』の中でも、日本のワイン市場をけん引してきた勝沼に構えるワイナリー ＜シャトー・メルシャン＞ の故・浅井昭吾氏が、画期的な取り組みを他ワイナリーにも惜しみなく紹介する姿が描かれています。こうした言わば ”オープン” な姿勢が、イケダワイナリーだけでなくワイン産地・勝沼には宿っているのかもしれません。
余韻を大事に、基本に忠実で丁寧なワイン造り
クリーンに保たれている醸造所。20年以上経過した貯蔵タンクもピカピカに光る
＜イケダワイナリー＞ のワイン造りの基本は、信頼できる契約農家から仕入れた高品質なぶどうを用いて、ぶどうのポテンシャルを引き出す優しい味わいのワインを産み出していくスタイル。甲州は、一般的な収穫タイミングよりも1週間ほど早くすることで程よく酸を残し、口に入れたときの余韻が長くなるよう工夫。醸造においては、最新の技術や革新的な器具の導入に捉われず、基本的にぶどうにストレスをかけずに絞ったフリーラン果汁のみを使用。過度な低温発酵は行わず、優しいプレスと*デブルバージュ、丁寧な清澄・濾過により、えぐみの無いエレガントな味わいが生まれます。
*デブルバージュ…ワイン醸造において、圧搾後の果汁をタンク内で静置し、不純物を沈殿させて上澄みを取り出す作業
苛性ソーダ（アルカリ性）とクエン酸を使用して醸造器具を洗浄するサニテーション
「毎年品質が高いワインを造るワイナリーの共通点は、常に醸造所内をクリーンな状態に保つことなど基本的な作業をおろそかにしないことであると常々感じています。何か特別なことをするのではなく、丁寧な造りを心がけています。」と池田さん。
ワイン造りの7割は ”サニテーション（消毒、滅菌、殺菌）” にあり、と言われているように、ワインが接触するぶどうコンテナから貯蔵タンクまで、品質に危害を与える微生物汚染のリスクを極力減らすこうした取り組みが、毎年高品質なワインを造り続けているイケダワイナリーの真骨頂になっています。
ワイナリーに併設されたショップで至極の一杯を
ショップでは、イケダワイナリー全商品を試飲、購入することができる
ワイナリーに併設されたショップでは、定番商品をヴィンテージ違いで味わえる他、希少なプレミアムキュベのワインも試飲することができます。看板犬ワッフルを愛でながら、ワイン産地・勝沼のポテンシャルを感じる一杯を味わっていかがでしょうか。
奥様ちさとさん、看板犬ワッフルとともに
「これからも奇を衒（てら）うことなく、地に足をつけたワイン造りを行なっていきます。ワイン産地・勝沼とともに、ここだからこそ造れる高品質だけどリーズナブルなワインを目指し歩んでいきます。」と温かな眼差しで語る池田さん。
「ワインをつうじて造り手と飲み手の心が通い合う」という俊和氏が掲げた理念を継承し、これからも丁寧に心を込めてワインに向き合います。
イケダワイナリーおすすめワイン
イケダワイナリー 〈セレクト 白〉
甲州種ぶどうを厳選、丁寧に作り上げた高級辛口白ワイン。樽発酵、樽熟成からくる柔らかなヴァニラの香りとさわやかな柑橘系の香りがワインの味わいを引き立ててています。甲州の可能性を感じることができる余韻が心地よいエレガントな1本。
イケダワイナリー 〈ヴァン・ルージュ〉
カベルネソーヴィニヨンとマスカットベーリーAを使用し、ミディアムボディに仕上げた赤ワインです。甘いベリーの香りと豊かな果実味、柔らかなタンニンが楽しめます。
イケダワイナリー
山梨県甲州市勝沼町下岩崎１９４３
https://www.katsunuma.ne.jp/~ikedawinery/
